世界のはじっこでの日常生活。思考生産物の物干し竿。


by miomio
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世界を笑え

ちょっと前に書きたいなと思ったんだけれど
ほとぼりが冷めてからにしようと思ったこと。

BBCで広島と長崎で同時に被爆した男性が
「世界一不幸な男性」としてコメディで紹介され
笑いを誘ったことに関して日本大使館に抗議が行き
日本大使館が謝罪を要求し、
BBCが最終的に謝罪したということがあったでしょ?

これをみたときに
あーイギリス的だなと思ったのです。
確かに歴史を振り返ってみて
笑い飛ばせるような「明るい」事件では全くないわけだけれど
イギリス人の笑いのつぼの方向性がわかると
これは「さもありなん」と思われること。
デンマーク人のユーモアも似たところがあるのだけれど
笑いにタブーを作らない、という点で
イギリス人のシニシズム(風刺)とか笑いのツボってのは
本当にあらゆるところに存在する。
むしろ、多くの人が「タッチして欲しくない」と思われる
弱点とか暗部とか恥部とか
そういうやばい部分に切り込んで笑いを誘発させる。
日本のそれと違うのは
権力者も権力も、そして神をも笑いのネタになれば
女性とか子どもとかゲイとか老人とか身障者とか病気の人とか
なんにでも笑いの介入できない「聖域」がないこと。
かの有名な映画「Little Britain」って、私がみても唖然としてしまうことが多くて
(Political incorrectなことが多すぎて)全然笑えないのだけれど
隣を見るとイギリス人とかデンマーク人が心からゲラゲラ笑っているのをみて
なんだか置いてけぼりをくらったような気がしまうことがあったんだよね。
笑いのツボって、趣味嗜好と同じである程度環境に影響されるけれど
コアになるとあんまり変わらないから、
今見てもやっぱり笑えないのだけれど、
それで不愉快になって日本大使館に抗議を入れたりしないだけ。
そこで、リアルに逆上するんじゃなくて、一歩上の
ユーモアで切り返せるようになるのが世界で生きる日本人としての理想。
文化(ユーモア)の違いってのは
相手に謝罪してもらって超えられるようなものじゃないからね。

たとえば日本で「部落」や「アイヌ」が社会研究の対象にはなっても
それを思いっきり前面に出して、日本人が隠してきた暗部に光をあてるようなことはしない。
「あるんだけど、ないこと」になっているのが日本のやり方。
「いじめ」も「相撲協会」も同じ。なんかみんな知ってるのに見ないふり。
「日教組」とか「天皇」とかヨーロッパ的に言えばつっこみどころがいっぱいある存在に
「アンタッチャブル」な聖域を設けて、それを笑うことをよしとしない。

ヨーロッパでは、たとえばユダヤ人とかアイルランド人とか
歴史的に抑圧されてきた人たちの苦しさを自虐的な笑いに変えて提供したり
ゆがんだ歴史を可能にしてきた「弱者の抑圧された声」を
まっとうな研究結果としてじゃなくて、庶民の日常の笑いに還元することで
広く知らしていく。高等な目的でもともとやっているわけじゃないけれど
政治も社会情勢も、教育を受けてすごい仕事をしている一部のエリートのものではなくて
普通に社会をまわしていく一般庶民がどう考えて何をするかということが大事なわけ。

今回のエジプト暴動でもたくさんのジョークがばら撒かれれて面白い。

今日聞いて面白いなーと思った小話。

ムバラクが100000ドル(一千万円)を使って国民をどうにかできないものかと考えた。
部下「Vice presidentに一千万円を上げてどうにか国民を納得させられないか」
ムバラク「俺にできないことを副大統領ができるとは思えない」
奥さん「10の封筒に分けて、10の家族を幸せにしてあげるべきよ」
ムバラク「それでは国民が納得しない」
ムバラク「ヘリコプターに乗って、この一千万をばらまいたら一千万の人が幸せになれると
思うんだがどうだろう」
パイロット「この一千万は大統領に差し上げますから、どうかヘリコプターから
飛び降りてください。そうしたら820万のエジプトの国民がみんな幸せになります」

そろそろムバラクは退陣することになるのでしょうかねー。

ちょっと話の方向がずれるけど、
同業者の西亭新黒さんが日記に書いていて激しく同意したのが
日本のYahooとアメリカのYahooのトップニュースを見ると
誰かが日本人を馬鹿にしようとしているとしか思えない、ということ。
確かに、日本のニュースサイトのトップニュース見ると
本当にどうでもいい人の離婚とか朝帰りとか
世界を揺るがすような事件に対して全く触れられていない。
エジプトのこと報道しろとは言わないけれど
重要なニュースは全て3行記事扱い。

日本人は落語とか川柳とか昔からひねったユーモアや洒落の
わかる高等な知性の発達した民族であるわけだけれど、
日本人の笑いとか興味のレベルがどんどん低下している気がして怖い。

なかやまきんに君が筋肉留学から帰国
長谷川理恵が神田正輝のプロボーズ待ち

とか本当にどうでもよくない?
旬のすぎた(すぎてなくても)タレントのどうでもいい個人的なことを
電波を使って大々的に放送する愚業。
トップニュースがこれって、心底とほほ。

酔っ払い海老蔵事件が連日トップ扱いだったときにつくづく思ったのだけれど
ネットのニュースとじゃワイドショーとか本当にどうでもいいことしか扱ってない。
視聴率を無視できないのはわかるけれど、
それが一般国民の「一番の関心事」というより
というか、それにたくさんの時間をメディアが割くから
それが一般国民の一番の関心事になるという構図。
だからさ、絶対知られてはまずい法案とか政治家の悪事とか
社会の動きがごまかされてるんじゃないかと思うのよ。

良心的なジャーナリストはいるわけだけれど
公共の電波を使って本当に大切なことをいえない(伝えない)のだったら
今のメディアって全くもって用なし。

それにしても世界を握るアルジャジーラの
他の世界の事件を一切流さないエジプトライブ映像24・7の徹底ぶりには
驚かされます。それが世界(中東だけじゃなくて)の力地図を動かす大事ってのは
わかるけど、他のニュース全く流してなくて全力をあげてエジプト特集。
衛星テレビの普及で細分化された興味に応じてチャンネルがあるからそれでOKだから、
言えばそれまでだけど、それにしてもアルジャジーラ。
視聴率とか全然気にしないで「世の中で起こっている重要なこと」を
追っかけるそのジャーナリスト魂が熱い。
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by miomiomiomion | 2011-02-04 17:01 | 社会を斬る