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世界のはじっこでの日常生活。思考生産物の物干し竿。


by miomio
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糾弾集会に出席する

本日は糾弾集会に行ってまいりました。

私は糾弾する方ではなくて糾弾される側です。
先日のネット記事をうけ、
大統領や、大臣や、村の長老やIDPキャンプのリーダーに

①食糧は全ての人対象ではありません
②無料食糧援助からこれからは自立を促す
食糧支援にシフトしていかなければなりません
③WFPは仕事をちゃんとやっております

とまぁそのあたりをうまく伝えなければいけません。
いやー確かに現状は
全然麗しくなくて、政府がまともに機能してないってのは
人々の生活をここまでも悲惨にしてしまうものなのか
という一面も実際にありますが
それにしても、

文句と苦情ってのは叩けばどこかからでも出てくるもので
そしてすべての文句と苦情は必ずしも誠実なものではなくて
その背後に政治的な配慮があったり、
金銭的な目論みがあったり、
だから、うのみにして、
「はいはい。」とただ聞いているだけでは
だめなわけです。
あと、政治と人道援助って切り離せっていうけれど
それ、無理ね。
人道援助は、かわいそうだから働くとか助けるわけではないのです。
同じ人間として、長い目でみて能力が生かせる方向で
やり方を考えて変えていく段階がないと
ただの一方的な援助を注ぎ込んでいるだけでは
社会の基礎体力が減退してしまう。

「文句を言おう」が大前提で
〇〇をつぶそう(←機関だったり人だったり)とか
それによってひと儲けしようという邪悪な計画があったりする個人と
本物の真摯に耳を傾けないといけない「現場の声」を
ちゃんとわける「耳」が必要。それが難しいんだけれどね。

そして、やり方を間違えると
200ドルで刺客を雇えるところだから(もっと安いといううわさも)
命にかかわってきたりするわけで。(だからこっちは
セキュリティガード付きでミーティングにでるわけですが)

コミュニティーミーティングは実は
私は嫌いではありません。
むすーっとしている人たちの中にわけ入り

「紳士淑女の皆さん、本日はミーティングに来てくださってありがとう。
私はガルカヨ事務所からきましたMiomioです。
今日はみなさんに会えて嬉しいです。天気も治安もいいですし」

とかそのあたりをソマリア語ですらーっというと
まさか外国人の私から
サラームアレイコム(こんにちは)以上のソマリ語が出てくると思われないものだから
結構簡単に笑いと拍手喝采が頂ける。たまにつまっても
「えーとえーと」と考えるときに、ちらっと見えるおじちゃん、おばちゃんの
笑顔がとても温かいこと。
その辺は狙ってやっているわけですが(詰まるのはシナリオの不具でわざとではありません)
その辺はわかったうえで、こっちの人たちもあえてこちらの人に合わせようとする
外国人に鞭を打つようなことはしません。
国際言語なんだから英語であたりまえ、と思ってえらそうにばーと始めるより
たどたどしくてもその国の言葉でその国の人たちに話かけたいじゃないですか。
3年前に計画としては、今頃ぺらぺらだったはずなんだけれど
まぁその辺はシナリオ遅延ということで・・・

心から笑顔で。あなたの話を聞きに来ましたよ、そして私の話もしますよ、
という姿勢を伝えると、
糾弾集会が、コンサート会場みたいになってくる。
一体感、そしてエネルギーが調和する。

そして、肝心の紛糾には一つ一つ事実を重ねて説明していく

たとえば
「倉庫に膨大な食糧を隠しておきながら(隠してないから)
人々の手には一切渡ってない」という言い分には

一切どころか5万に向けて先週の木曜日から配布が始まっています。

「国連機関はいつもアセスメント(調査)にやってくるけれど
そのあとの行動が伴ってない」とか

12月の調査の後に2万5千人の受益者が援助に加わりまして
3500トンの食糧が配られました。
あと2月からは栄養失調児を対象にしたプログラムも始まっていて
1200人が対象になっています。

ポイントはタイムラインと数字。
これがあると、言ってることに信憑性がでてくる。

「必要な人に全部渡ってない。食糧を増やせ」←よくある要望

基本的に私たちの食糧は”Most vulnerable"が対象です。
質問者のハサン(仮)さんは、若くてストロングで病気もしてないし
グッドルッキングですが、そういう人は対象になりません

・・・相手をいい気分にさせておいて、笑いを引き出し、
最後のオチはちゃんと落ちるところに落とす。
笑いが出ることでこわばった「文句を言ってやろう」な空気が溶ける。

ソマリ語でハートをTouch
数値とタイムラインで脳をShut
そして笑いで空気をCatch

とそんなラップな感じで
集会が終結するわけです。

ここにNGOの職員とか地域の人気を得たい政治家が
混じったりするとまたスパイシーですが、

相手の挑発に乗らない
穏やかにしゃべる
笑いを引き出す
相手の話を遮らない
笑顔で決める

とま、この5か条で
ここ8年間乗り切れたことを考えると
それでいいんじゃないかと思います。

ニューヨークとかジュネーブとか
そういう切れ切れな場所で
通用する方法ではないかもしれませんが
ソマリアの田舎部とか
スリランカの山奥とか
スーダンの荒地とか
そういう人間が大地に近い
理論武装しないで、本音でぶつかれる
地球の果て、みたいなところだと
これで大丈夫。
だから、私はフィールド好きなんだなぁと
再確認する。
思ってることと言うことが間逆なんじゃなくて
思っていることをどうやって伝えるかというところに
神経を使える環境がいい。

で、みなさんありがとーまたくるねー(拍手喝采)で
終わった糾弾集会の後に
メディアに文句を言った大統領との会談。
偏屈もので名の知られたX大臣も一緒。

さっきの集会の冒頭分と
うちの機関の最近の動向をソマリ語でレポート。
普段、他の機関がいると基本英語なので
(私がソマリ語でのろのろで説明して
それにソマリア人が英語で通訳するという
非効率を避けるため)
私が実はこんなにソマリ語をしゃべれる暗記しているというのを
知らない大統領。

みるまに笑顔になっていき、
最後には

最初の私の言い方にはとげがあったようだ。すまなかった。

と謝罪まで戴きました。
そしてX大臣が帰り際に一言

「君はもうソマリア人だね。私たちの言葉をしゃべって
私たちと同じものを食べる。嬉しいよ」

・・・この人普段全然フレンドリーではない人なのに
満面の笑みで

というわけで、長々とちょっと自慢っぽっくて申し訳ありませんが
嬉しかったので実録してみました。
ご清聴ありがとうございました。

本日ブログの2行サマリーは
「外国に出たら、その国の言葉を頑張ってしゃべってみろ。
周りの反応が全然違うぞ」ということです。

それから、2件ほど食糧配給の視察に行ってきました。
2つほど新しいプログラムのアイデアが浮かびました。

あーとっても生産的で楽しい1日だったな。
by miomiomiomion | 2011-03-07 22:15 | お仕事