世界のはじっこでの日常生活。思考生産物の物干し竿。


by miomio
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今そしてこれから

Hereafterを観る

つかみのリアルな津波映像が「時期的にふさわしくない」と
問題になった作品だけれど映画自体はとてもいい。
「Hereafter」には来世という意味があるのだけれど
この映画が焦点をあてるのはあくまで「今」。
津波だけじゃなくて、サイキックとか死後の世界とかドラック中毒とか
ドラマチックな要素が詰め込まれているのに、
ハリウッド的なうるささや派手さがないのが
クリント・イーストウッドの職人芸のなせる業。

マット・デーモンは相変わらずマッチョだけれど
このフランス映画よろしい静かな展開にすんなりと居場所を見出している。
いい役者だと思う。私のタイプではないけれど(←誰も聞いていない)
クリント映画の指定席のマット以外も、主人公のフランス人の女の人も
その彼氏も、性格が正反対の双子も、料理クラスの先生も生徒も
ラブストーリーの相手ですらも、「普通で」「となりにいそうな」
いい意味で全然キャラが突出していないリアルな人物の存在感。

そんなリアルなストーリー展開で語られるのは
迷いや、悲しみや、苦しみを内包しながら
期待や、気づきや愛に突き動かされていく巡りめぐり行く人生の妙。
人生は一方方向に進んでいくのではなく
上にあがり、下にさがり、いろんな「偶然」を積み重ねていって
運命の流れに巻き込まれていく。
ただ、決して真っ暗なだけではなくて
光が差し、出会いがあり、その出会いがもたらす
人智を超えた何かがある。

このラブ・ストーリーを予感させる最後の終わり方がまた
フランス映画っぽくてよいんだなぁ。SubtleでEloquentで。
完全無欠なハッピーエンドではなくて
一人一人の主人公が、
自分で感じた問いに自分で答えをみつけて
答えをみつける過程で、
複数の時間軸が絶妙に絡まっていく映画らしい映画。

それにしてもクリント・イーストウッドの守備範囲の広さと
産み出すストーリーの質の高さには脱帽である。
硫黄島からの手紙、チェンジリングやInvictusのもつ
歴史や社会的なテーマのもつ重厚感や熱さのある映画、
週末には友達の家でBirdをみたのだけれど
それはJazzの伝説のサクソフォン奏者の生涯を描いたものだった。
80過ぎて尚精力的に映画の世界で作品を生み出す
バイタリティとプロフェッショナリズムに
心から敬意を表したい。

いやー映画って本当にいいものですねぇ、だ。
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①Hereafter(今年初の映画)★★★★★
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by miomiomiomion | 2012-01-08 20:25 | 映画評