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世界のはじっこでの日常生活。思考生産物の物干し竿。


by miomio
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2011年 06月 27日 ( 1 )

時代の肖像

せっかくD700を買ったのに
全然写真を撮れていないのは
自分の「期」が熟していないから。
私が撮りたいのは「記録写真」でも「報道写真」でもない。

圧倒的な現実を前にして
言葉や感情を超えた真実にぶつかって
目の前の「やるべきこと」に没頭しているから
すごい勢いで変わっていく現状を
なすすべもなく、見送るしかない。

でも、これでいいんだと思う。
誰かを感心させたいんじゃない
自分を鼓舞したいわけでもない
「こんなにすごい被害だったんだよ」と伝えるのは
私の仕事ではない。

すさまじい被害の中でぐっとつかまれる
緊張のとける瞬間や
人間の強さややさしさや
そこに住んでいた人の思いが垣間見られる
そういう「物語」と「思い」を
私は大切にしたいと思う。

問題は私が「好き」か「嫌いか」ではない。
津波に破壊された街
いまだかつてない経験をした
日本人は、日本は
無力でたたずんでいるだけではないということ、
それからどんな状況にも
いや、むしろこんな苦境だからこそ
普段出てこない光や救いが見えること。

そういう「これだ」という瞬間を
私がまだ切り取れる実力がないうちは
私は目の前の仕事と
目の前にいる人と
今に、集中するだけでいい。

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陸前高田の高台に佇むお寺。
目の前に広がる街が津波に呑みこまれていく様子を
仏はどう見たのだろう。
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「こわしてOK」
所有者がスプレー缶で、周りにほとんどなくなった
自分の家の残骸に書いたときのことを考えると言葉がない。
思いのほかポップな響きと文字列に、あきらめを超えた静かな強さを見る。
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なぜか台所の中味だけきれいに整頓されたままの台所。
自分の家の他の部分は全て流されても、台所だけはそのまま
所有者を待ち続ける。
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3月11日、世界はひっくりかえった。
今も被災地にはスクラップになった車が大量に残っている。
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「完了」

自分の感情が、表現力が追いつかないもどかしさ。
言葉を並べて、消して、
イメージ的には作文用紙をちぎって丸めて
ごみ箱にいれていく作業を繰り返していると
ふっと正しい瞬間に立ち会えることがある。

語彙力をつけたい
文章力をあげたい
カメラの腕をあげたい

そういう、技術的なことももちろんあるけれど
今私が何よりしたいのは
人の深い感情のひだに立ち入る
「人間の機微」ってもんを
もっときちんと感じられるようになるってこと。
それにはいろんな人ときちんと話して
その場の空気と時間に生きて
自分の気持ちの消火作業と
自分の感情の消化作業の時間をきちんととること。
自分の「こうでありたいイメージ」と
「今そうであるイメージ」が乖離していかないように
自分にきちんと向き合うこと。

それができてないから、写真がとれないのかもしれないな。
by miomiomiomion | 2011-06-27 04:07 | ナショナルミオグラフック